生まれも育ちも島国の私にとって、陸続きの国境には得も言われぬ魅力を覚える。といっても、ヨーロッパのように車で知らない間に通過してしまうのはつまらない。
これまではノンカイ、メーサイ、ムクダハーンで橋を渡って国境越えをしたが、船でラオスに渡るのは初めて。
船着き場の小さなイミグレで、親切な係員に出国の判を押してもらう。
川辺へ下りようとすると、いきなりこの傾斜。
出発時間が迫っていたので、慌てて下りて最後の乗船客となる。
この日の始発、8時半発の便にすでに座席はなく、甲板にうずくまった。揺れて振り落とされませんように…。
乗ったのはこんな船(これは帰りの撮影ですが…)。
不謹慎ながら、豊かな国を目指す難民チックな雰囲気を味わった気分。
ほかの客は、西洋人観光客数人と、商売で行き来するタイ人、ラオス人。ラオスの人は身なりと行動ですぐにそれとわかる。
小さな船で漕ぎ出すメコン川は、想像以上に雄大だった。
ターケークに到着、イミグレでいきなり世界が変わる。共産圏そのものだ。乗客も窓口に並ばず、タイ人にまで横入りされてしまった。
領収書のないいくばくかも払わされて外に出ると、ほこりっぽさと高くなってきた日差しにクラっとする。
対岸のタイはきれいで快適そうだな〜。といきなりホームシック??
第一の目的地である市場を目指す。
地図はないが、確信を持って15分ほど歩くと、あったあった。
午前9時前というと、もう商売あがったりなのか、半分以上のお店が閉まっている。
1軒だけ開いていた服飾店で、綿とシルクの織物を買う。ラオスの織物はシックで本当にすてき。
ビエンチャンではいまやものすごい高値がついているそうだが、こういう田舎町ではまだまだお得に入手できる。大満足。
町に元仏領インドシナの雰囲気はあまり感じないけれど、洋館はいくつか残っていた。
ただ、町にメンテナンスする余力がないのは仕方ないか…。
タイから一歩出ると、タイは雑然としているようで、実は都会も田舎も、人の手が行き届いているし、景観をきれいに保とうとする心意気があるのを、再確認する
船着き場の近くに巨大なホテルがあったので、そこでフランス式コーヒーでも、と思ったら、まだ建設中だった。
約1時間の滞在でラオスを後にする。