ハノイで行われたグループリーグのベトナム戦では、3試合ともベトナム人が観客席を埋め、ものすごい歓声をあげていた。勝った日には夜通しバイクを飛ばして騒いでいたという。
ベトナムで有名な日本人といえば、小泉前首相、おしん、中田(ヒデ)の3人で、中田の人気はかなり高いらしい。そして日本チームはアジアのブラジルと言われているらしい(うわっ、やめてぇ〜)。
オーストラリア戦の会場へ向かうバスのなかで、ベトナム人のガイドさんが言った。「ベトナム人は日本のサッカーを応援してるので、今日の試合にはとても関心が集まっています。ベトナム人は日本チームを応援しますので、次の試合のベトナム対イラク戦では、みなさんもベトナムを応援してください」
このガイドさんはまた、ベトナムが初めて進出した準々決勝を観るために、多くのベトナム人がバンコクへ行った、飛行機のチケットがとれなかった人は、バスで20時間以上かけてバンコク入りしている、とも言っていた。
試合が始まり、オーストラリアが先制ゴールをあげた途端、まわりのベトナム人が立ち上がって拍手した。な〜んだ、オージーの応援じゃないの。タイ人と一緒だわ。
しかし3分後、高原のゴールを受けて、ベトナム人がまた立ち上がった。んんん? ゴールシーンが見られれば、どっちでも良いのね〜。
この日本・オーストラリア戦では、観客の半分近くがベトナム人だったのではないだろうか。
日本がオーストラリアDFを崩せずにバックパスなどしていると、盛んに攻めろ攻めろ、と歯がゆそうに合図している。ベトナムのイケイケ・サッカーを見慣れていると、無理もないと思う。日本人だってそう感じるし。
かなり熱心に観ている人も大勢いたが、PK戦に突入する頃から、席を立つ人が現れだした。次のベトナム・イラク戦を観るためらしい。これも納得。
帰りのバスの窓からは、大きめのテレビに集まって準々決勝を食い入るように観るベトナム人をたくさん見かけた。ガイドさん曰く、家では、奥さんがドラマに夢中でサッカーなど見させてもらえないから、とのこと。
その試合でベトナムがイランに敗れた翌日のニュース番組で、2-0での敗戦を軽く伝えたあと、数日前の日本チームとのゲームの映像が流れ、日本のオウンゴールが強調されていた。この大会のハイライト・シーンを、日本はプレゼントしてしまったのね。
ベトナム人のサッカー好きは、折に触れ、とてもよく伝わってきた。開催4か国のなかで、自国のゲームが満員になったのは、ベトナムとインドネシアだけだったと記憶している。国の経済状態と反比例しているようでおもしろい。