発酵仮面こと小泉武夫博士の語る発酵食品の数々。
前半は、おなじみのそこそこくさい食品が紹介されていて、「うんうん、くさいけどおいしいよね」などと思いながら読み進み、食欲がわいてきた。
ところが後半、これまで聞いたこともない世界中の強烈な発酵食品が並ぶのだが、どれも想像するだけで意識が遠のきそうなツワモノぞろい。
うわぁー、私にはダメだー、と早々に降参した。
研究のためとはいえ、それらに果敢に挑んで「強烈に臭いのですが、大変においしいのです」という著者のストライクゾーンの何と広いことか。
もちろんそれだけでなく、世界の食べ物に関する深いうんちくを追うのがとても楽しい。
巻末の中村雄二郎氏(哲学者)との対談では、消臭や抗菌ブームに警鐘を鳴らすなど、興味深い内容がもりだくさんだ。
さて、夏は滋養たっぷり、先人の知恵の詰まった発酵食品を積極的にとっていこう。