表紙のイラストにもなった黄色いバラは、タイでは「忍耐」を表し、AIDSのシンボルとなっているそうだ。
クリスチャンの日本人女性がチェンマイで運営する、タイのHIV感染者とAIDS患者を受け入れる施設「
バーンサバイ」(心地よい家)の活動を紹介している。
多忙なスタッフに執筆の余裕はないらしく、報告会での講演と施設の発行するニュースレターをもとに、1冊の本にまとめられたようだ。
施設への入所者の多くは、社会の最底辺で生き延びて来た人、とあったが、絶句するしかないような人生がいくつも書かれていた。
そのなかには、恥知らずな日本人男性が関与したケースも残念ながらある。
また、エイズ教育の普及や患者への差別などは、実はタイより日本の方が遅れているそうで(2005年7月発行の時点)、こちらも愕然とした。
全体を通して唯一の救いは、施設の母 (?) の青木恵美子氏の言葉。
「ここの責任者は神さまだ。責任は神にとってもらおう。私たちは今日を精一杯生きるだけだ・・・」
たまたまこの本の読者となった私は、自分の引き出しのよく見えるところに、この施設をずっとしまっておこうと思った。