待ちあぐねていた本が、昨年暮れに出版された。
「何もない」といわれるイサーン(タイ東北部)に
どう200ページを割いたんだろう? と思っていたら
全体の半分以上を写真が占めていた。
イサーンの風景を一度にこんなにたくさん見たのは初めて。
著者が3年かけて取材して歩いたという
集中力が1冊に詰まっているように感じる。
ページをめくっていたら、自分のイサーン旅行の
いろいろな場面が思い出され、すぐにでも飛んで行きたくなってしまった
バンコクからイサーンに足を運んでいた頃、イサーンのガイドブックが欲しいと
常々思っていたので、この本が数年早く出ていたらなあ、と改めて思う。
定価2500円+税 ってことは、バンコクの紀伊国屋では4000円近いかな。
一読して、個人的には、クメール遺跡にはそこそこ行ったけど、
たくさん掲載されている現役のお寺の門をくぐったのは、ほんのわずかしか
なかったことに気づかされた。ちょっともったいなかった。
逆に、私があちこちで訪ねたり探したりした布についての言及はほとんどない。
また、鉄道の旅の記述も見あたらなかったような。
イサーンの食事の写真も、1ページにまとめられているだけ。
そんな内容の偏りに加え、必要な情報は網羅しながらもガイドブックにしては
緩慢で重量もあり、かといって紀行文ではなく、
どこか茫洋とした1冊、というのが正直なところかもしれない。
いつ始まっていつ終わったのかはっきりしない(そんなことは重要ではない)
タイの宴会のように「さりげない」造りこそが、タイらしいってことで
自称・イサーン好きの一員としてつい辛口になってしまったけど
画期的なイサーン本であることは事実ですとも、ええ。