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カテゴリ:◆本 〜 アジア( 14 )

『アジア熱』

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うーむ、参った!

アジア各地の湿気と空気がまとわりついてくるような文章です。

それでいて随所に、透明な輝きがあります。

いずれもさして長くない旅の間に、経験したり感じたりしたことが

しなやかに、細やかに、豊かに描かれていて、読み終えるのが惜しいくらいでした。


同時に、我が身の感受性の低下(急降下?)を、これでもかと見せつけられて愕然… 。

自分なりのレベルを維持していくために、浮かんできたのはこんなことです。


知らない土地に行ったり、初めての体験をしたり、ということを大切にする。

できることなら、たまには一人旅をする。

意識して、質の高い感性(文章など)に接する。

無味乾燥した表現に慣れないようにする(このブログも読まない方が良いな )。


  

本の内容も良かったし、今後の自分自身の指針にもなる貴重な1冊でした。

こういう本が読みたかったんだ! とページをめくる幸せをかみしめました。


ところで著者の中上紀さんは、中上健次氏のお嬢さんだそうです。

前に『彼女のプレンカ』というチェンライを舞台にした小説を読んだ時は

物語の内容と写真から、日本と東南アジアの血を引く作家と勝手に思ってましたが…。
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by chicorycafe | 2012-08-10 17:19 | ◆本 〜 アジア

南国に暮らす日本人の本 2冊

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『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』


表紙の写真を見るだけで、うら寂しい気持ちになるので

夫が読むのを遠巻きに見ていたのが、昨年秋の終わり。

ふと手に取ったら最後まで読んでしまった。

やはりどこまで読んでも、希望の光は見えず・・・。

かと言って「ダメな人」で終わらせるのもどうかと思い・・・。

結局言葉が出てこないけれど、ぐいぐい引き込まれたのは事実です。


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『「生き場」を探す日本人』


「申し訳ないが、サクセスストーリーはほとんどない」という

前書きの最後の一行に、早くもありゃりゃ。

でもこちらは、夫や自分を映しながら読める部分もあって、おもしろかった。

タイでのロングステイについて、意外だったことがある。

ビザの関係で働けないため、日本の元気な「オトシヨリ」は物足りずに

早くに帰国してしまうことが多いらしい、という事実。


自分たちにフィットするタイ滞在の模索は、まだまだ続くのでした。
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by chicorycafe | 2012-02-15 17:10 | ◆本 〜 アジア

『帰還せず ー残留日本兵六〇年目の証言ー』

c0161046_21473134.jpg 映画『花と兵隊』をきかっけに、もう1冊未帰還兵の本を読んだ。

 タイ、インドネシア、ベトナムに住む未帰還兵14人のインタビューがまとめられている。

 タイ在住4人のうち3人は映画『花と兵隊』と、先日読んだ単行本『未帰還兵』にも登場するので、それぞれの取材者が引き出す話を意識しながら読む。

 一方、インドネシアに残った未帰還兵は、実際の戦闘を経験しないまま終戦を迎えたところが、インパール作戦などに駆り出されたタイの未帰還兵とは大きく異なる。

 当然、終戦後の過ごし方などもまったくちがい、さらにひとりひとりの生い立ちや、所属していた隊の状況などもさまざまで、全員の話がとても興味深かった。

 どの人においても、戦中の教育を受けたうえで20歳前後で日本を出て、終戦時の強烈な体験、あるいは運命のいたずらなどにより、日本に帰らない選択をし、帰らないけれども日本への思いは捨てきれない、という共通項を持っているように感じる。

 いまここで、戦争をよく知らない私が何かを書こうとすると、陳腐な表現しか浮かんでこないのが正直なところだ。

 唯一の救いは、全員がそれぞれの場所で家族をもって暮らしてきたことだろうか。

 映画『花と兵隊』の監督も、そんなふうに感じたのかもしれない。
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by chicorycafe | 2009-09-23 22:54 | ◆本 〜 アジア

『責任なき戦場 インパール』

c0161046_23263530.jpg 15〜16年前のNHKスペシャルの映像と取材記・『太平洋戦争 日本の敗因』全6巻の各4巻目。

 「インパール作戦」の概要が知りたくて取り寄せました。

 感想などはここには書きません。

 ここだけの話ですが、高校時代、歴史の授業を単位ギリギリまでさぼり、テストの赤点ギリギリで何とか卒業した私は、お恥ずかしいばかりの歴史オンチ女です。

 世の中の人にとっては「インパール作戦」は常識なのだろう、と必死に読み、映像に見入りました。

 すると史学科卒の夫が「作戦の内容は高校の教科書に1、2行出てくるくらいだよ」とポツリ。

 「え!? 牟田口は?」

 「知らない人の方が多いでしょ」

 ・・・

 「それを早く言ってよ…」

 けれど、この大失敗の作戦について、今回少しでも知ることができて良かったです。

 そして日本は何も変わってない、と打ちのめされたのでした (>_<)
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by chicorycafe | 2009-08-10 00:26 | ◆本 〜 アジア

『虹色の空 < カンボジア虐殺 > を越えて』

c0161046_2137545.jpg 知人にいただいて、ありがたく拝読。

 義理で目を通したわけではなく、読んでみたいという気持で読んだ。

 著者は1964年にプノンペンで生まれたカンボジアの女性。

 前半は幸せな少女時代と、10歳からのポルポト政権下での壮絶な日々が語られる。

 映画『キリング・フィールド』の場面を思い起こしながら、あの世界を経験した本人の言葉を追っていることに動悸がした。

 後半は16歳で来日してからの生活と、3度にわたるカンボジア再訪、失った遺族への供養や著者自身の心の傷との葛藤などが書かれている。

 来日後は著者の強い意志もあってか、神様が著者の暗黒の時代を埋め合わせているのかと思うほど、物ごとが最終的に希望どおりに進んでいく。

 しかし、慰霊の儀式に訪れる先で親切に迎えてくれるのは、元クメール・ルージュの人たち、というところにカンボジアの悲劇があることを知った。

 これまで読んできた、ポルポト政権下の真実を探るような本からは得られないリアリティーを感じる1冊だった。
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by chicorycafe | 2009-07-19 22:50 | ◆本 〜 アジア

『越後のBaちゃんベトナムへ行く』

c0161046_12435217.jpg 著者が長年暮らすハノイに、82歳で認知症のお母上(Baちゃん)を呼び寄せ、共に暮らす日々が綴られている。

 以前、朝日新聞にこの著者の同じ内容のコラムが掲載されていて、興味深く読んだが、短くまとめてあったので、「Baちゃん」のキャラクターがいまひとつ伝わってこなかった。

 その点本書は、新潟弁の「Baちゃん」のセリフが満載で、そのひとつひとつにとぼけた味わいがあって、つい頬がゆるんでしまう。

 「こっちは雪が降らんでいいのお」

 「屋根の雪も心配しねで、ほっけんどこでゆっくり休ませてもらってそう」

 「ああ幸せだのぉ。雪掘りの心配もいらねえ。メシの支度もいらねえ。誰に気兼ねもいらねえ。こうして『食っちゃ寝の化けモン』してられるてだが、ほっけ神経が休まるこたぁねぇの。あんまり幸せで・・バチが当たりそうだて」

 豪雪地帯で暮らしてきた働き者の日本女性なのだなー、と感動的ですらある。

 そしてこの「Baちゃん」、ベトナム人とも日本語で渡り合って、仲良しになってしまうのだから頼もしい。

 実際には「Baちゃん」の2度の手術や失踪? 事件、著者の病気など、大小さまざまなハードルが立ちはだかるが、それらの多くは控えめに書かれている。

 また、お年寄りを尊敬しいたわる習慣のあるベトナム人からの手助けは、日本の都会では得られないレベルのものだと思った。

 個人的にもっともずっしりと来たのは、もの心ついた頃から自己主張をしてきた私たち世代の人は、戦前の人である「Baちゃん」のような謙虚なお年寄りになれるのだろうか、ということ。

 きっと無理だろうな。少なくとも、私にはできそうにない。


 *『越後のBaちゃんベトナムへ行く』 小松みゆき・著 2B企画
  2007年6月刊 B6判 272頁 1400円 (本体\1334)
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by chicorycafe | 2009-05-26 14:56 | ◆本 〜 アジア

『ミャンマーの柳生一族』

c0161046_12284357.jpg 「ミャンマーという日本人にとってマイナーな国を面白く、ウソをつかずに本質を伝えるか考えぬいた結果、軍事政権を徳川幕府に、軍情報部を柳生一族に擬すという荒業となった」とあとがきにある。

 まともに歴史を勉強してこなかった身には、徳川幕府なんて持ち出されたらなおのことお手上げだわ。

 という予想を裏切り、おもしろくてあっという間に読んでしまった(理解のほどはともかく…)。著者・高野秀行氏の筆力はすごい。

 旅の内容はふつう経験できないレアなものだし、ミャンマー人観察の着眼点の良さと鋭さには舌を巻く。

 その一方で、ほかの作家を彷彿とさせる箇所や、おもしろい文そのものに飽きを感じたりしてしまうのだから、わがままな読者だと自分でも思う。

 タイにいたころ、この高野氏の著書『ビルマ・アヘン王国潜入記』を読み始めて、すぐにくじけてしまった覚えがある。

 大勢出て来る登場人物の名前が覚えられず、おもしろいところまでたどり着けなかったのだ。

 次は同じ著者の『西南シルクロードは密林に消える』か。期待に応えてくれるといいな。

 ここで初めて気づいた。

 わからないことだらけのミャンマーという国に、著者が易しく的確に導いてくれることを待っている私は、ちょと情けないやつだ。
 
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by chicorycafe | 2009-05-22 13:38 | ◆本 〜 アジア

『アジア新聞屋台村』

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 著者については、数年前に『極楽タイ暮らし「微笑みの国」のとんでもないヒミツ』を読んでから、ひそかに信頼を寄せている。

 チェンマイ大学で日本語の講師として2年間働いたことのある著者の、タイ人を見る目の確かさと温かさに共感したのだ。

 本書も期待を裏切らない、おもしろい一冊だった。

 主人公はフリーライターの日本人男性・タカノさん。

 台湾人女性の経営する新聞屋台村(アジアの複数の新聞を発行する会社)で、タイ、韓国、インドネシア、ミャンマーなどから来たスタッフとともに、編集業務に携わる。

 この在日アジア人たちが実に良い。

 本の前半は彼らのキャラクターを追うだけで楽しく、後半は物語の展開を追うのに夢中になった。

 本の背表紙に「自伝的トーキョー青春物語」とあるけれど、在日アジア人と日本人との個性の違いなどは、深ーく訴えてくるものがある。

 著者の高野秀行氏の本を、もっと読んでみたくなった。
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by chicorycafe | 2009-04-19 22:24 | ◆本 〜 アジア

『オバハンからの緊急レポート パーキスターン発』

c0161046_18392934.jpg 9.11直後のパキスタン、アフガンと日本のマスコミの様子を、イスラマバードから書き綴った日本人女性「オバハン」の本。

 久々にガツーンと来る読書になったな〜。

 いろいろな意味でパキスタンやアフガンは日本から遠い国だけれど、その距離は私の思っていた何倍もあるようだ。

「平和ボケ・消費文化に染まって、開発途上国を食い物にしてきた私達」という一文が、深く突き刺さってきた。

 日本にいて、日本のテレビや新聞による情報をもって、イスラム社会や国際貢献などについて、わかったようなつもりになってちゃダメだわ。いっそのこと「オバハン」に情勢を逐一解説してもらえたら、と思う。

 先日亡くなったペシャワール会の伊藤さんの件についても、現在の「オバハン」のブログに教えられることは多い。無念さは増すばかりだけれど。

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 「オバハン」の2冊目の出版となるこの本では、「オバハン」の日常と、イスラマバードに住むとはどういうことかを伺い知ることができる。

 関西弁の「オバハン」の言葉は、抱腹絶倒のおもしろさと痛快さと哀愁を含んで、途中で止められない読書となること受け合いです。
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by chicorycafe | 2008-09-01 22:46 | ◆本 〜 アジア

『秘密のミャンマー』

c0161046_22593728.jpg タイにいる間に一番行きたい国でありながら、結局行かずじまいとなったミャンマー。

 正確には、タイ北部のメーサイから国境を越えて、ミャンマーの領土に小1時間のみの滞在をした。

 が、タイ語もタイバーツも通用する観光地のそこでは、ざわついた国境の町の雰囲気を楽しんでおしまい。

 この本は、バンコクの紀伊国屋書店で何度も目にしていたけれど、椎名節でミャンマーを読むのもなぁ、と手が伸びなかった。

 今回気が変わり読んでみて、やっぱりう〜ん、という感じ。いえ、ページをめくっている間はすごくおもしろかったのに、読み終えると満足感がない。

 著者含めて4人の旅人に現地のガイドさんが加わる大部隊旅行で、ミャンマーの微妙な情勢など影の部分に触れていないせいだろうか。

 文庫版あとがきに、著者自らミャンマーに関する別の本を紹介して、そちらの方がミャンマーをより理解できる、とあった。そりゃないよぉ〜。
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by chicorycafe | 2008-08-30 23:57 | ◆本 〜 アジア