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イサーンで " おもひでぽろぽろ "

 「なぁ? チコリさん、家に泊まってなぁ、なぁ、なぁ?」鼻にかかった声でSさんが言う( "なぁ" は日本語の "ねぇ" に相当)。

 そんなふうに言ってもらっても、1年に数日しか会えないSさん親子の時間をあまり邪魔したくないし、何かと気を使ってくれるのは目に見えていたので、半日だけお邪魔させて、と遠慮していた。

 ところが「チコリさんのためにトイレを新しくしたー」と聞いた時、これはお世話になるしかない、と悟る。でも私、トイレは大丈夫だってあれほど言ったのにぃ〜!!

 実際にお邪魔したSさんのお宅は、高床式の山小屋といった感じで、慣れ親しんだところへ戻ってきたような気がした。壁も床も板張りで、歩くとギシっという音が心地良い。何たって、ご夫妻手作りのお家なのだ。

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 写真は、階段を上ったところ。風の通る板の間がリビング、左側のドアの向こうが寝室、右へ行って一段下りるとダイニング、もう一段下りるとキッチン。リビングとダイニングのスペースは、使う時にSさんのご両親手作りのゴザを敷く。

 昼食の後急速に眠気に襲われ、ダイニングの片隅で昼寝をさせてもらった。ゴザを引きずってきて敷き、お母上お手製の枕を出していただく。

 階下ではニワトリの親子が何組も、大声で鳴きながら歩き回っている。ニワトリと虫の声を子守歌に、そよそよと吹く風を肌に受けながら、サバイサバーイな午睡。本当は階下に3つくらいぶら下がっていたハンモックもかなり気になっていたんだけど、それはまた別の機会に…。

 トイレと水浴びのスペースは伝統的なタイ・スタイルだったものの、壁のまわり下半分が白とピンクのタイル、上半分がコンクリートで、かわいらしく清潔に仕上がっていた。作りたてのほやほや。私ごときのために・・・ううぅ、感激しました…。

 寝室は棚で空間を区切った大きなひと部屋。窓も木でできているので、昼間でも薄暗い。こういうところで昔のタイ人は、キラキラ光る陶器・ベンジャロン焼などを愛でていたのだな、と思わされた。

 また、朝も夕方も、暗い部屋のドアや窓を開けた途端に光が差し込んで、家のなかがスポットライト浴びた舞台になる。その光にもさまざまな表情があって、まさにタイ版・陰影礼賛、何度も思わず歓声をあげてしまった。

 滞在中、どこか山小屋に似たお宅のあちこちで、山登りをしていた頃の自分が、ふとかげろうのように現れては消えていくような気がした。
by chicorycafe | 2007-12-31 01:11 | ◆旅 〜 タイとその周辺