宿泊客がほとんどいないのかなと思いながら、朝食をとりに1階に下りる。
林に囲まれたリビングの、ダイニングテーブルとソファセットいくつかが
ゆったり配置された空間には、空いた席がみあたらないほどだった。
30人くらいの人が朝食ビュッフェをとっているのに、ほとんど物音がしない。
打ち寄せる波の音をバックに、雨音まで聞こえそうな静寂。
西洋人のなかでもマナーのよい人たちが集まると、豊かな自然環境を
こうして味わえるのかと感激しながらの朝食となった。
朝食は、メニューは決して多くないし、特別高級なものでもないのに
ひと品ひと品に質の高さを感じさせるものが揃っていて、さらに感激してしまう。
そして、翌朝。
昨日と同様の空間を期待して階段を下りていると、何だか騒がしい。
人数は昨日と変わらないのに、雰囲気がワサワサしている理由は、
朝食メニューが足りないからだと気づいた。
そういえば、さっき廊下ですれちがったカップルは、マフィンを両手にしてたっけ。
朝から晴れたこの日、海に山にでかけるのに、昼食分をテイクアウトする人続出か?
大きなポットからコーヒを注ぐ私の横に、中年男性がせっつくように立っている。
追加の食パンが並べられると、ガサガサと慌てて席を立ってとりに行く人もいる。
あ〜あ、昨日のエレガントな雰囲気はどこ行ったのぉぉぉ〜。
いったん均衡が崩れてしまうと、こうも変わるのかと、ちょっとショック…。
さて、ここのホテルの朝食は、私の脳にどう刻まれるだろう。
1 気のきいた西洋人は、静かな自然環境を邪魔しないふるまいをする。
2 一見品の良い西洋人も、食べ物が不足するとただの人になる。
はてさて???