表紙、口絵の写真、そして冒頭の数行に目を通し、ハートをつかまれた。
生後3か月の、まだ体に丸みの残るオオカミ犬とともに、カナダ・バンクーバー島の森をヒッチハイクをしながら歩いた著者の、4か月の旅と心の記録。
写真も文章も、しなやかで静かで淡々としていて、こちらの心にすっと入ってきた。
丁寧に作られた完成度の高い本で、いろいろな中身がつまっている。
深い森の世界の物語。
森の中で成長していくオオカミ犬・ウルフィーと著者の物語。
著者が大学時代から繰り返し訪れたカナダでの、豊かな旅の物語。
深い自然とともに暮らす人々の、喜びと悲しみの物語。
森と対話するようにして、自分を確かめていく著者の魂の物語。
やわらかくて上質な透明感に満ちた物語に、自分の何かを洗い流してもらったように清々しい気分になれた。