Chicory Cafe

chicory27.exblog.jp
ブログトップ

『津波 〜ASIAN TSUNAMI〜』

c0161046_131531.jpg 津波が発生したのが、2004年12月26日。

 この本の発行が、4年後の2008年12月26日。

 本には、著者が津波セレモニーに参加した2006年12月までのことが書かれている。

 この時間差について最初は、すぐには事故のことを文字にできないのも無理はない、などと解釈していた。

 読み進むにつれてそれは、事故後4年でよくここまで… という感慨に変わる。

 著者は、以前ピピ島のダイビングショップで働いていた経験のある女性。

 カナダ人のボーイフレンドのマーティンと、バカンスで訪れていたピピ島で濁流に呑まれた。

 はぐれてしまったマーティンと数時間後に再会できたものの、重傷を追い、その日のうちにプーケットの病院、大晦日の晩にバンコクの病院、その2週間後に日本の病院にそれぞれ入院し、手術を受けたという。

 本の3/4くらいまでは、読んでいるこちらがうめき声をあげそうになるほど、怪我と治療、その経過が壮絶だった。

 そしてその年の6月に晴れて通院を終えてからは、気持の整理をつけるのに苦しむ。

 なぜ、被害に遭ったのが自分たちだったのかという理不尽さ、報道の惨さと現実とのずれ、制しがたい感情の揺れなど、いわゆるPTSDとの戦い。

 全体を通じて、救いと思えるのは、怪我を負わなかったマーティンが傍らにいたこと、ピピ島やプーケットに著者の知り合いが多かったことで、彼らの存在がなければ、被災の4年後にこの本が出版されることはなかったかもしれないと思う。

 とはいえ、1冊の本にまとめるために、著者は相当の忍耐と努力を要したのではなかろうか。

 著者が伝えたかったことを、きちんと受け取れただろうか。そう意識しながら、もう一度読まなければ、と思わされた。
[PR]
by chicorycafe | 2009-04-09 01:24 | ◆本 〜 タイ